機能性表示食品を取り扱う事業者にとって、2026年8月31日は制度対応上の重要な節目です。
紅麹関連製品に係る健康被害事案を受けて見直された機能性表示食品制度では、健康被害情報の提供、製造管理、表示事項・表示方法などの強化が進められてきました。
このうち、一定の錠剤・カプセル剤等食品に対するGMP(適正製造規範)の要件化と、容器包装上の表示事項・表示方法の見直しに設けられた経過措置期間が、2026年8月31日に終了します。消費者庁は2026年8月27日の長官記者会見で、2026年9月1日以降に製造される対象食品には新しい規定が適用されると改めて説明しています。
健康食品関連事業者は、単に「届出が完了しているか」だけでなく、製造、品質保証、表示、販売後管理までを含む運用体制を確認する必要があります。
なぜ2026年8月31日が重要なのか
機能性表示食品制度では、2024年に発生した健康被害事案を踏まえ、制度の信頼性を高めるための見直しが行われました。
消費者庁では、健康被害情報の提供の義務化に加え、一定の機能性表示食品についてGMPに基づく製造管理を求めることや、消費者が制度の性質をより正確に理解できるよう表示事項・表示方法を見直す措置を進めています。
GMPの要件化および表示事項・表示方法の見直しについては2026年8月31日まで経過措置が設けられており、2026年9月1日以降は新しい制度を前提とした実務運用が必要になります。
なお、表示については、2026年8月31日までに製造・加工・輸入された食品には従前の表示を可能とする経過措置があります。9月1日以降に流通している在庫を一律に旧表示不適合と判断するのではなく、製造・加工・輸入時点と対象規定をロットごとに確認することが重要です。
事業者が確認したい3つのポイント
1.製造委託先を含めたGMP対応
GMP要件化の対象となるのは、天然抽出物等を原材料とする錠剤・カプセル剤等食品として届け出られた機能性表示食品です。自社工場だけでなく、実際に製造・加工を行う委託先の管理体制まで確認する必要があります。
特にOEM・ODMで製造を委託している場合は、次の点を委託先任せにせず、届出者側でも把握しておくことが重要です。
- 対象製品が制度上求められるGMPの範囲に入るか
- 製造工程、衛生管理および品質管理が適切に運用されているか
- 原料受入から製造、試験、出荷までの記録をロット単位で追跡できるか
- 逸脱、規格外、苦情、健康被害情報が発生した場合の連絡・対応手順が整備されているか
- 届出者が委託先の実施状況を定期的に確認できる契約・監査体制になっているか
消費者庁は2026年5月22日に実施した保健機能食品等に関する業界向け説明会でも、「機能性表示食品におけるGMP実施状況の確認について」を資料として取り上げています。
2.現在販売している商品の表示を再確認
制度改正への対応では、届出資料だけでなく、実際の容器包装を確認することが重要です。
2026年9月1日以降に製造される対象商品については、改正後の表示事項・表示方法との整合性を確認する必要があります。消費者庁は、容器包装の主要面上部に枠で囲んだ「機能性表示食品」の文字を表示し、その近接した場所に届出番号を表示することなどを案内しています。
あわせて、次の項目を確認しておきましょう。
- 「機能性表示食品」の表示位置・方法
- 届出番号
- 届出表示と実際の機能性表示の一致
- 一日当たりの摂取目安量、摂取方法および摂取上の注意
- 医薬品とは異なる食品であることや、必要な注意喚起に関する表示
- 改正に伴い追加・変更が必要となるその他の表示事項
パッケージだけでなく、ECサイトの商品ページ、ランディングページ、広告物、営業資料についても、届出内容および実際の容器包装との整合性を確認することが望まれます。
旧包材の在庫を使用する場合は、経過措置の対象となる製造・加工・輸入日を確認できる記録を残し、包材切替日、製造ロット、出荷計画を連動させて管理することが実務上のポイントです。
3.届出後も情報を更新・管理する体制を
機能性表示食品は「一度届出をすれば終了」という制度ではありません。
消費者庁の機能性表示食品届出情報データベースは2026年8月も継続的に更新されています。届出者には、製品販売後も安全性や品質に関する情報を適切に収集・管理し、必要に応じて制度に沿った対応を行うことが求められます。
そのため、次の一連の業務を個別部門で分断せず、一つの流れとして管理することが重要です。
商品企画 → 原料確認 → 製造 → 品質保証 → 表示確認 → 販売 → 販売後管理
健康被害情報、苦情、原料や製造工程の変更、分析結果、表示変更などについて、誰が判断し、誰へ連絡し、どの記録を更新するかを社内手順として明確にしておく必要があります。
OEM事業者・販売事業者間の情報共有も重要に
健康食品業界では、一つの商品に原料メーカー、OEM工場、包材会社、届出支援会社、販売会社など複数の事業者が関与することも珍しくありません。
制度対応を進めるうえでは、「どこまで工場が確認し、どこから届出者・販売者が確認するのか」を明確にすることが重要です。
特に機能性関与成分の規格、原料情報、製造記録、分析結果、包材版下、表示内容などは、関係事業者間で情報が分断されない仕組みづくりが求められます。委託契約や品質取決め書に、変更管理、逸脱時の報告期限、記録の保管、監査、健康被害情報の共有方法まで落とし込んでおくと、制度対応を継続しやすくなります。
8月31日を「対応終了日」にしない
2026年8月31日の経過措置終了は、一つの期限ではありますが、制度対応そのものの終了を意味するものではありません。
健康食品を取り巻く制度は、安全性、品質管理、科学的根拠、広告・表示などを含め、より継続的な管理を求める方向へ進んでいます。
事業者にとって重要なのは、制度改正のたびに個別対応するだけではなく、「現在の商品が、現在の制度に適合しているかを定期的に確認できる体制」を社内および取引先との間で構築することです。
日本健康産業促進協会では、今後も健康食品・保健機能食品に関する制度改正や行政情報を整理し、事業者の実務に役立つ情報として発信していきます。
参考情報
- 消費者庁「食品を安心して選ぶために(機能性表示食品)」
- 消費者庁「堀井消費者庁長官記者会見要旨(2026年8月27日)」
- 消費者庁「機能性表示食品制度に関する説明会」
- 消費者庁「保健機能食品等に関する説明会について」
- 消費者庁「機能性表示食品について」
- 消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」
※確認日:2026年8月29日